婚活なる海へ、言葉の意味を感じて舟を漕いでいこう。「舟を編む」

「話さない人」「話下手なので上手くいかない」など、結婚相談所の婚活でコミュニケーションについての悩みが、多く寄せられます。
話すのが苦手なのではなく、「わからない」「何となく」「生理的に合わない」と曖昧な表現でまとめていませんか?

もちろん、言葉には言い表せない部分もあります。「これは必要なのか、自分のプライドとか拘りからきてた思いなのか。」なるべく思いを「言語化」してみることで、自分の思いを具体的に知り次へ進むプロセスを、自分で認識することも婚活では大切です。なぜなら、あなた以外の人に答えを出せる人はいません。

異性との対話に少し不慣れなところがあるようで、振舞いがずれている。
相手の存在を「意識しすぎた」感情が「意識する」あたりにまで心が落ち着いてくると、人の良さがジワジワと伝わる場面です。しかし、タイミングもずれていることに気づくと、自らのペース配分を変えてみることで時を掴む姿勢へと変容します。

時に言葉は誤解を招きますが、伝える状況や感情にも左右されるのでしょう。
解釈の仕方は人それぞれですが、言葉の定義は共通。

言葉に自信がない人や話下手な人へ、綴られる言葉を愛おしく感じ、相手に思いを伝えたくなる温かな物語をご紹介します。

三浦しをん著書「舟を編む」主人公の真面目な馬締(まじめ)さんは、営業部から言葉や辞書向きなセンスから辞書編集部へ異動。相変わらずひょうひょうとした雰囲気で辞書編纂に奮闘する中、恋や人間関係も不器用ながら言葉を編みだしていきます。

馬締は「変わったやつ」と遠巻きにされ、本を読んでいれば声をかけられない。寂しさを紛らわすかのように、本の世界へ入っていきました。言葉を多く知っているといっても、会話の達人ではありません。逆に、言葉をどのように扱えばいいのか戸惑っているようにも見える彼に下宿の大家、タケおばあさんが言葉をかけます。

読書のおかげか、馬締の成績はぐんぐん上がった。心を伝達する手段である「言葉」に興味を抱き、大学では言語学を専攻した。
いくら、知識としての言葉を集めてみても、うまく伝えられないのはあいかわらずだった。むなしいけれど、しかたがない。伝わらないという事実を、馬締は諦めとともに半ば受け入れていたのだが、辞書編集部に異動になって欲が出た。
「みっちゃんは、職場のひとと仲良くなりたいんだね。仲良くなって、いい辞書を作りたいんだ」
タケおばあさんに言われ、馬締は驚いて顔を上げた。
伝えたい。つながりたい。
自分の内心に渦巻く感情は、まさしくそういうことだと思い当たったからだ。

興味がなければ、話が合わなければというものではなく、相手のことを知らないので、発せられた言葉の中にある疑問を質問として投げかける。とてもシンプルです。シンプルすぎてかしこまり、考えすぎてしまうのが様々な体験をしてきた大人達なのかもしれません。

さて、偶然にも現れた大家さんのお孫さんの香具矢に恋をし、馬締は口下手から思いを手紙にしたためます。

漢文を書いたつもりはないが、文章がやや硬すぎたようだ。思いのたけをこめた、しかも思いが空回って無用に難解になってしまった手紙を、当事者以外にも読まれたとは。馬締は恥ずかしくなった。
「おばあちゃんには、『直接聞いてみればいいじゃないか』って、けしかけられたんだけど。みっちゃんはいつもと変わらない態度に見えたし、ますます確信できなくて」
変わらなくて当然だ。はじめて香具矢に会ったときから、馬締の態度は一貫して不審だった。それもこれも、すべて恋情ゆえのことだ。

言葉を丁寧に扱い、相手が受け取りやすいような配慮も必要です。

相手に聞くまでもなく憶測が飛び交い、頭の中が混乱して疲れて自己完結のパターン。力を注ぐなら憶測より聞き方について「何の言葉を使うのか」を、考える力に置きかえたほうが賢明です。

気の利いたことを言おうとしなくても、心が添えられている言葉であれば、声に姿勢に反映されて誠実に伝わるのではないでしょうか。メールとなれば言葉に頼り、どちらにも取れるような曖昧さは誤解を招きますので、気をつけてください。
万が一、誤解だったなら「ごめんなさい」「すみません」の一言がいえる人とは、より良い関係を築いていける気がします。「ありがとう」の言葉も。

馬締に声をかけた上司、荒木は新しい辞書「大渡海」について思いを語ります。

「辞書は、言葉の海を渡る舟だ。」
魂の根幹を吐露する思いで、荒木は告げた。「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし、辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」

二人の用例採集カードが積み重なっていくように、思い出も増えていきます。
人生という大海原を航海するパートナーとは、漕ぎだす前にも後にも多くの言葉を交わすことでしょう。

また、映画として2013年4月13日より公開。

互いに感想を伝え合う婚活映画デートに、おすすめです。
映画や著書から伝える楽しさや伝わった嬉しさ、わかちあえる喜びを、もっと言葉を味わいたくなります。

二人で、大きくて深い愛の海に漕ぎだしてください。




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