夫婦、親子、家族について話して、考えてみませんか？「そして父になる」
11月22日「いい夫婦の日」として定着してきました。
さらに、11月5日は「いいご縁の日」として縁結びの日。
独身の男女がいい出会いをと「いい出会いの日」として11月11日。
平成19年度から11月第3日曜日を「家族の日」、その前後各1週間を「家族の週間」と定めています。
物思いにふける秋に、夫婦や家族について考えてみませんか？
映画と本をご紹介します。
話題の映画「そして父になる」は、夫婦でも親子でも、カップルでも、友人同士でも互いの想いを語れるきっかけになる映画です。
都心の高級マンションに住む家族と、地方で電気店を営む家族。
6年前に病院で取り違えられたことが発覚し、2つの家族について描かれている物語は心に突き刺さります。
育てた時間か？
血のつながりか？
野々宮良多（福山雅治）は、父の自覚について感じていくことになります。子供が生まれたら必然的に父親という立場になりますが、父になる決意はあっても努力の必要さも伝わってきます。また、少し浮いているように見えたのは違和感というより自分の立ち位置を探しているように見えました。
何とも言えない、憤りを感じます。ネタバレになるので多くは語りませんが、個人的に想いがあるからこそ重いテーマさながらに残るものがありました。
■家族とは
1年間に約66万組のカップルが結婚し、そのうちの4組に1組は再婚であると言われています。初婚同士の結婚だけではなく、初婚と再婚のカップルやお互いに再婚であったり連れ子や実子と、家族の形態も変わりつつある現状。再婚など血縁関係のない親子・兄弟姉妹関係をステップファミリーと言い、血縁を超えた家族の形とも言えます。
映画「そして父になる」のエンドロールに、参考文献とクレジットされている本「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年 (文春文庫)
沖縄の2家族に起きた1971年（昭和46年）に生まれた赤ちゃん取り違え事件について、25年間に渡り取材し続けたノンフィクション。是非とも手にして読んでいただきたい一冊です。
映画「そして父になる」の原作ではなく、あくまでも参考文献。内容は全く違います。
強いていえば、2つの家族が思い悩んでいる時。取り違えられた体験者のアドバイスとして著者が紹介したご夫妻を、映画の野々宮良多に重ね、思い出すかもしれません。
本は、取り違えられた女の子2人の成長や母親の日記、会話や裁判の記録をはじめ、夫婦の出会いや家族構成、子供たちとの接し方。沖縄という地での出来事だけに、取り巻く状況や歴史など沖縄情勢までもが詳しく書かれているので、より沖縄を知る機会になります。
2つの家庭は似ていますが、環境や年月を経ていくと複雑な事情も絡みあいが影を落とすのか、関係を結びつけていくのか。よりよい形を模索し、子供たちの成長を見守りながら渦巻く感情や状況に、こちらまでも渦巻く思いを巡らせつつ実話に圧倒されました。
愛情は、子供に大きな影響を与えることが伺えます。大人はわからないだろと思っていても、子供は行動や言動をしっかりと見ているものです。
思春期というのは、身体的にも心理的にも大きく変容していく時期である。”愛されること”から”愛すること”を学ぶのもこのときである。だが、精神と肉体のアンバランスは、外からのちょっとした刺激でも大きな心理的変化をもたらすことになる。こういう不安定で微妙な時期に、父や母の不条理な関係を知ったことは、やがて彼女たちの人生に好むと好まざるとにかかわらず深い溝を刻むことになる。
第八章「不信」より
取り違えられた2人の少女が30歳の女性になった時を、特別書きおろしに綴っています。結論が出たということではありません。傍から見ると明るいように見えても、それぞれの想いは残っています。
婚活の場面では、初婚と再婚。子どもについて話すことがあります。
「諦めたわけではないけれど、相手に子供がいるならいい」「やっぱり、子供は…」と具体的な話に及びますが、好きだからとか感情論ではなく、子供の将来や夫婦の関係をかなり考えて悩み決意した人は、人生を動かしてしっかりと自分の意見と理由を語ります。結婚への決意からです。
本や映画を通じて、今の置かれた環境や状況を、見つめたり見直したりすることは、よりよい関係を築く機会に。結ぼうと手を伸ばしたくなる想いから、あらためて結び直したり互いの存在を強く感じるのではないでしょうか。
夫婦の形も様々なら、家族の形も様々です。
家族についてお互いに語りあいながら想いを重ねていけますように願っています。
