西の魔女が死んだ
心のどこか、ある一つの組み合わせが悪くなる。
環境に馴染めなかったり
何かに憤っていたり
不安になったり …
おかしい
こんなはずじゃない
心の悲鳴が聞こえてきますが、
自分以外の人には聞こえない。
主人公のまいちゃん。
中学へ入学したけれど、学校へ行けなくなってしまいました。
行こうとすると苦しくなる。
彼女の周囲は、彼女を温かく見守りつつ
咎めることもせずに、自然豊かなおばあちゃん宅で
ゆっくり過ごすことに。
扱いにくい子
生きにくいタイプの子
ママがパパに相談をしている電話を聞いていた彼女は
その言葉にひどく心が痛んでいました。
そうですね。
余談ですが、何気ない一言って
人の心を温かくもできるし、切り刻むこともできてしまうと思うんです。
言葉って。
慌しく感情が行き交っている時がありまして、
揺れ動きすぎてしまっていたことを思い出しました。
そんな時って、言葉にひどく過剰に反応して、
これまでは気にしないようなことも、ちょっとしたニュアンスに
取り違えたりして。
別に傷つけるつもりはなくても、
心に響くというより、心にひびが入ったみたいに
このようなことから、すれ違いになったりするんですよね。
売り言葉に買い言葉なやり取りで、
無意識に誰かを傷つけていることもあったり。
また、防御するために言葉を過激に、過剰に。
本当は、そんな言葉がでるあなたではないのに。ね。
疲れていたり、ひどい緊張状態だったりしたら
すこし休んでくださいね。
その時に、温かく見守りながらも傍にいてくれた人を
大切してくださいね。
では、本の話に戻りまして。
西の魔女（おばあちゃん）に、彼女は
意志って、生まれつきな強さなのか、
後に強くなっていくものなのかと
「意志の力」について聞く場面があります。
おばあちゃんからの言葉は
「ありがたいことに、生まれつき意志の力が弱くても、少しずつ強くなれますよ。少しずつ、長い時間をかけて、だんだんに強くしていけばね。生まれつき、体力のあまりない人でも、そうやって体力をつけていくようにね。最初は何にも変わらないように思います。そして、だんだん疑いの心や、怠け心、あきらめ、投げやりな気持ちが出てきます。それに打ち勝って、ただ黙々と続けるのです。そうして、もう永久に何も変わらないんじゃないかと思われるころ、ようやく、以前の自分とは違う自分を発見するような出来事が起こるでしょう。そしてまた、地道な努力を続ける、退屈な日々の連続で、また、ある日突然、今までの自分とは更に違う自分を見ることになる、それの繰り返しです」
違う視点を持っている他の人から、
自分の違う一面を教えられることもありますよね。
繰り返しのような日々にも、数々の宝が隠されているような。
そんな気がします。
さて。
物語では彼女の気持ちを揺さぶる事件がありました。
状況を把握したり、誰かの話を聞く前に
「これは」と思う気持ちが高まって、感情が先走っている彼女に
おばあちゃんはこのように伝えています。
「まい、どうか分かってください。これはとても大事なことなのです。おばあちゃんは、まいの言っていることが事実と違うことだといって非難しているのではないのです。まいの言うことが正しいかもしれない。そうでないかもしれない。でも、大事なことは、今更究明しても取り返しようのない事実ではなくて、いま、現在のまいの心が、疑惑とか憎悪とかいったもので支配されつつあるということなのです。」
彼女は真相が究明できて初めて、疑惑や憎悪から解放されると
言い放ちましたが、おばあちゃんからは、
「新しい恨み、憎しみにより支配されることになる」と。
そういうエネルギーの動きは、ひどく人を疲れさせると思いませんか？
相手にしても、自分自身にしても。
強くて大きなエネルギーは、よい方向へすすむものもあれば、
憶測や妄想も手伝って、更に悪化させてしまうようなエネルギーにも
なりかねません。
ひどく疲れて、顔の色もツヤもなくなってしまってきては
あなたらしさも出てきません。
栄養が行き届いていないと、元気の源も枯れてしまいます。
笑顔の華も。
おばあちゃんの温かさや
魔女の修行（おばあちゃんの人生の知恵というのかな）
が散りばめていて、「このような人と出会っていたら
少し人生観がかわってたかも」と感じられるような物語です。
でも、何かに気づいてからはじまることもあるし、
それは年齢を問うことではないと、私は感じます。
映画化もされた著書ですが、あなたのイメージが
存分に活かせる読書もおすすめですよ。
